テクノロジ

公共無線電力伝送 / Public Wireless Power Transmission

成立時期 …… 2040 年代

概要

 公共無線電力伝送は、世界各地に建設された電波塔や地下設備によって、携帯端末から電気自動車に至るまで、多種多様な電子機器に電力を供給する大規模なシステムである。

歴史

 無線電力伝送の構想は古く、20世紀初頭に二コラ・テスラの提唱した『世界システム』にまで遡る。しかし当時は技術的制約から実現はしなかった。20世紀後半から21世紀初頭にかけて、電子機器の利用者数は爆発的な増加を遂げた。無線技術も大衆化していたが、バッテリへの給電は有線接続が基本であった。この頃から無線電力伝送を実現し、商用化しようという動きが始まった。

 2020年代までに、個人所有の携帯端末に無線で給電する技術が確立した。電気自動車の駐車場に無線電力伝送を応用し、実際に利用され始めたのが、2020年代後半から2030年代前半のことであった。この頃は『静止した』物体への供給が基本であり、走行中の自動車や、街を歩く人々の端末に供給することは難しかった。

 そのような『動く』目標への無線電力伝送技術が確立したのが2030年代後半から2040年前半にかけてのことである。このおかげで、2040年代の携帯端末は『充電不要』になり、以後の多くの電子機器は『充電不要』がベースとなった。

技術的限界

 公共無線電力伝送は、主に電波塔と地下設備からの供給であり、携帯端末のように消費電力が比較的少ないものや、電気自動車のように地面に接して動作するものでなければ、十分な電力が供給できない。それゆえに、航空機や船舶は依然として旧来の燃料によって駆動している。しかしながら、ドローンのように小さな飛行物体への給電は可能である。

 また、公共無線電力伝送は基本的に『ブロードキャスト』方式の給電であり、給電する端末を識別して送電するか否かを選択することができない。そのため、公共無線電力伝送を運営する資金源は税金から捻出される国が多い。

運営母体

 公共無線電力伝送は、当初は民営企業が主体となって開発が進められていたが、多くの国で電気事業の一部とみなされ国営企業が運営しているか、もしくは半ば国営企業化した民営企業が運営しているのが実情である。その理由として、前述のように運営資金に税金があてられる国が多いことが挙げられる。